2009年2月25日水曜日

ヨーロッパ日記2008

mita


3年目に入りいよいよ恒例化したドイツ・ツアー。今年はドイツのみならずイタリアはローマ公演も決定。名付けて『日・独・伊』三国同盟ツアー。
メンバーは、太鼓&唄の木津茂理と津軽三味線&唄の澤田勝秋のユニット「つるとかめ」とSAXプレイヤー坂田明のメンバー3人に加え、スタッフとしてマネジャー藤沢静子、音響にピットインの菊地昭紀、ツアー・プロデューサー三田晴夫の計6名。

6/9(月)

成田を出発し、同日ローマ入り。
フィウミチーノ空港でご担当の大森氏らしき人を探すもそれらしき人がいない。すると、「Mr.Sakata」のカードを持った外人を見つけ、思わず坂田さ んはそちらに近づいていき我々も続くが、どうも様子がおかしい。少し会話をしてどうやら我々とは無関係なことが判明。そうこうしているうちにやっと大森氏 が登場し、一同ひと安心。それにしても、ローマに降り立ってすぐに「Mr.Sakata」のカードがあろうとは。

6/10(火)

午前中は市内観光。
ポポロ広場から足の向くまま歩いていたら、藤沢さんから、あれ!これってスペイン広場?と言われ初めて気が付く。
午後は会場入りしリハーサル。
会館が音響的に響きすぎることもあり、菊地氏も苦労するが、全体の音量を抑えて良い感じに。
坂田さんと澤田さんは同い年で、みんなで「チャンジー」(じいちゃん)呼ばわりしていたが、いざ本番が始まると、丁々発止。互いにいざとなれば目にもの をって感じで、意識しているのがありあり。ここら辺が異ジャンルのセッションの面白さ。茂理嬢も、「流石チャンジー。」とあらためて感心している。
盛況のうち終演。
それにしても澤田師匠の東北弁丸出しは、異国の地に行っても衰えることはなく、絶好調。

終演後、ローマ日本文化会館の高田館長と大森氏のお誘いでレストランに。赤・白取り混ぜてワインを満喫。すっかりご馳走になりました。有難うございました。
澤田師匠は、日本を離れるまでは、持病のことがあり「おら、あんま呑まねえべ。」なんて言ってましたが、もうそんなことはお構いなし。

6/11(水)

この日は終日オフ。
いざ観光にと繰り出し、ホテル近くの路面電車を待つも一向に来ない。
今日はストかなと思いきや、どうやらブッシュ米大統領のローマ入りで路面電車は前面ストップらしい。また、ややこしい奴が突然現れたものだ。
バスは運行しているが、全員歩こうってんで地下鉄に乗れるポポロ広場まで40分。意外とある。そこからあのコロッセオへ。その歴史的建造物に接し一同感激。
特に菊地さんは、「やっぱり、歴史の重みだなあ。NYなんて全く行きたくないけど、ローマは良い。」と高揚気味でした。
コロッセオから、観光の中心地ヴェネツィア広場まで坂を登るが、結局どこにも立ち寄ることなくそのまま昼食。
そのレストランがいかにも酷い。高かろう不味かろうで、一挙にイタリア不信に陥る。
ビールは通常の2倍の値段、パスタを注文すれば、ケチャップ色で茹で過ぎた昔の日本のスパゲッティ。というか、昔の洋食屋の付き出しそのものだ。
みんなで腹を立てながらも、次なる目的地ヴァティカンへのアクセスが良い事で少し気を取り直す。
ここで別行動していた澤田・木津の師弟コンビと合流。
このサン・ピエトロ大聖堂は圧巻。
ディナーは、江戸の敵を長崎で、とばかりに美味しいお店を大森氏に相談。お薦めのイタリア・レストランを予約。坂田さんも、ここのムール貝は今までで一番、と絶賛。

6/12(木)

ローマからドイツ・ケルンへ。
昨年までは成田からケルン入りというパターンで、フランクフルトで列車に乗り換えてケルン駅に到着していたが、今回はケルン・ボン空港到着。
ご担当の山口女史がお迎えして下さる。
早速ケルン日本文化会館の上田館長と山口さんのお招きでレストランへ。
僕自身上田館長とは2度目。前回お目にかかったときに館長の音楽・オーディオの博識ぶりには舌を巻いていたのだが、なんと嘗てNHKのテレビでドイツ語口 座の講師をやってらっしゃったということを坂田さんが指摘。坂田さんは山下洋輔トリオ時代にはドイツには頻繁に来ておりテレビ講座で勉強していたらしい。 あらためて館長の博識ぶりに感心する。

6/13(金)


ケルン日本文化会館の公演。
昨年担当していただいた大西氏の顔もあり懐かしい。
公演は、プログラムを再考し変更したのが功を奏し、ローマでは各自の芸の出し合いのような場面も多かったが、本公演はバンドとしての纏まりが強まりパワーアップした感じ。
上田館長からも絶賛して頂きました。
公演後は、例年通り会館で軽い打ち上げをし、そのままバスでデュッセルドルフへ。

6/14(土)



デュッセルドルフは「日本デー」という欧州でもかなり大規模なお祭り。因みにこの日は100万人の人出となるそうだ。
午前中にサウンド・チェックがあり、会場へ。
ここライン川沿いにあるブルクプラッツ中央広場には特設ステージが設けられ、本番では約5千人の観衆が待ち受ける。
例年お世話になっている、田中領事(特に今回はJALの後援の事でご尽力頂いた。)、平女史、渡辺氏、それに渡辺氏の奥方でいつもいろいろとお世話をしてくれているアンドレアの顔も見え、何だか自分の田舎に帰ったような気分になる。

夜の本番までは空き時間なのでみんなで街に繰り出すと、すでにいたるところでに日本のアニメのコスプレをした若者達が歩いている。僕も3回目となれば見慣れた景色で懐かしい。
領事館の渡辺氏から、今年美味いラーメン店が領事館の近くに出来たと聞き、早速みんなで繰り出す。「匠」という店で確かに美味い。北海道から西山麺を空輸 しているそうで、値段も高く、ユーロ高騰もあり千円を超える。でも、東京でもなかなかこれほど美味いラーメンに出会うことは少ないので、大納得。

ステージは午後1時から入れ替わり立ち代り様々なパフォーマンスがあり、会場は出演者・スタッフ・お客さんでごったがえしている。
午後8時、いよいよ日本デーのメイン・アクトとして我らが「つるとかめ+坂田明」の登場。
茂理ちゃんからスタートし澤田師匠が絡んでいく。そして坂田さんが加わり、徐々にバンドのペースに。ステージ前の最前線には、音楽に合わせてエアー三味線をやりながら激しく頭を振っているドイツ人がいる。彼はついに約1時間半もの演奏の間それをやり続けていた。
お祭りに来たドイツの群集をも大いに引き付け、大成功。

最後は例年花火で終わるのだが、これまで我々は誰も見ていない。今回は、演奏後もバックステージで待機し花火に備えた。花火を見慣れている我々日本人としては、さほど期待してはいなかったのだが、これが凄かった。
結局、ステージ前方のライン川に揚がる花火をステージ上という特等席から見て、その規模・演出に感激。坂田さんは思わず「おっかーさーん」(これは感動したという究極の表現だそうです。)と歓声を上げている。

6/15(日)

つるとかめの師弟コンビは、6/17に日本公演が控えており、先に帰国の途へ。
残りの4名はオフだが、坂田さんが友人の日本人ミュージシャンがメールスでコンサートをやるので駆けつけるとのこと。
メールスといえば、ジャズ・フェスティバルで有名な地。この名前に引き付けられて僕も同行することに。
二人で列車に乗って、着けば何と大田舎。ジャズ・フェスのないときは全く寂しい町らしい。コンサートはドイツ在住のフルート奏者・天田透さんのソロ・コン サートで、メールス・ジャズ・フェスティバルの事務所を開放して行う。司会役もフェスティバルのスタッフでもある美人サックス奏者アンジェリカさん。ソロ に続いて彼女が加わりデュオになるが、なかなか素晴らしいサックス奏者で驚く。
坂田さんも当初より飛び入りするつもりで楽器を持ち込んでおり、3人での演奏となる。いずれもフリーなのだが、見事な展開。アンジェリカも坂田さんのプレイに舌を巻いている様子。
10人ばかりのお客さんだが、昼間なので事務所の部屋の窓から暖かな日が差し、風に揺れる木々が背景となり、なんだかとても良い気分にさせて貰った。
坂田さんも「こういう環境で自然に音楽があるってことがヨーロッパの文化なんだよな。」と深いお言葉。
お客さんの中に初老の男性がいて、坂田さんに向かって、
「お前は何十年も前にここのジャズ・フェスティバルに出演しただろう。俺は其のときに聴いていてようく覚えている。」と言っている。
ローマからドイツに入ったときに、何だか坂田さんがやたら自信に満ちた感じがしていたが、こういうところに起因しているのだろうか。

6/16(月)
坂田さんはこれ以降もベルリンやオランダでコンサートを組んでおり、お別れ。
残った、菊地、藤沢、三田の三人は、いよいよ帰国の途へ。

今回も各地で沢山の人にお世話になりました。またお会いできますことを。
また、出演者の澤田さん、木津さん、坂田さん、スタッフとして頑張ってくれた菊地さん、藤沢さん、みなさんお疲れ様でした。

7/7(月)

『日・独・伊』三国同盟ツアーのメンバーの日程がやっと揃い、月遅れの打ち上げ。
丁度一時帰国していたメールスで会った天田氏も加わり、何故かワンタイ(台湾料理)で乾杯。

で、締める予定でしたが。。。
ようやく一段落と思った翌日、出勤途中僕の車の前にさっと割り込んできた車のリアに大きく赤い字で、な、な、なんと、「つるとかめ」と書かれているではありませんか。
一瞬昨日の酔いがまだ残っているのか、はたまた『日・独・伊』三国同盟ツアーの祟りかと思いました。
何者か突き止めたく、追い越し際にサイドを見たら「笹塚 つるとかめ」と書かれています。事務所に着き早速ネットで調べてみると、老人擁護ホームの車でした。
や、やはり、チャンジーに縁があったのでした!

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